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とはずがたり  リサイクルゾーン

リサイクルゾーン

妻帯者男性が携帯電話を耳に押し当て、でっかい声で話してた。
そんなに大きな声を出さなくても、相手が例え北海道の人間だろうと声は届くと思う。

そんな最中に「バキッ」っと、ただならぬ音がした。
携帯電話が折れて中の配線がむき出しになっている。
本人は爆発でもするかと恐れたのか、慌てふためきしどろもどろに「折れた、折れた」と叫んでいる。
やかましい男だ。

そそくさと、近くのどこもショップに行ったが、いまひとつ暗い顔で戻ってきた妻帯者男性。
システムが変わり、つい最近までタダ同然で手に入れることができた携帯電話は、最低価格でも三万数千円に跳ね上がっていた。
「今月は自腹で出席しないといけない忘年会が目白押しなんだよ……」

「一円や〇円携帯の時は気分を変えたいと機種変してたのにね。
そんな頃の携帯電話が残ってない? フォーマカードを入れ替えると使えるよ」
と教えたところ、そんな古いものなら幾らでもあるとのこと。
小さなカードを入れただけで、眠っていた機械が動き始めた。

こんな感じで新しい携帯電話の需要が減って、派遣が切られ、携帯部品工場の失業者がたくさん出たんだろうね。
物を大切にリサイクルすると困った事も起こるって、難しい世の中だね。